ダニール・トリフォノフ「新しいショパンを弾く」 Trifonov plays Chopin

配信終了:2020年02月29日 23:59

コンサート

  • 1時間33分
  • 2017
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人気ピアニストのトリフォノフがミハイル・プレトニョフ編曲による2曲の新しいショパン「ピアノ協奏曲」を初演したドルトムントでの注目のコンサート。 最近では香川真司も所属していたサッカーチームの本拠地としても知られるドイツのドルトムント。かつては石炭と鉄鋼で繁栄したこの街で、2017年4月、音楽史に新たなページを加えるコンサートが開かれました。今をときめく人気ピアニスト、ダニール・トリフォノフが、ミハイル・プレトニョフ率いるマーラー・チェンバー・オーケストラとともに、フレデリック・ショパンのピアノ協奏曲2曲を弾いたコンサート。実はこの2曲とも、プレトニョフが編曲した新たなオーケストレーションによる演奏なのです。 「ピアノの詩人」として愛されているショパンですが、しばしば疑問を呈されるのが、そのオーケストラ書法に関して。この2曲の協奏曲を含め、ショパンにはピアノとオーケストラのための作品が6曲ありますが、その内の5曲まではまだワルシャワ時代の青年期の作品です。若書きゆえの経験の浅さなのか、ピアノ作品の豊かな彩りに比べれば、そのオーケストレーションは決して多彩とは言えません。優れた指揮者・ピアニストであると同時に作曲家でもあるプレトニョフが、その欠点を補うべく書き上げたのが、この「新しいショパン」なのです。 コンサートは、ピアノ協奏曲第2番からスタート。その冒頭、ヴァイオリンとヴィオラで始まるはずの最初のフレーズが、いきなりクラリネットで演奏されているのにはハッとさせられます。この、弦を木管に置き換える処理は多用されており、今回のプレトニョフ編曲版の主眼と言ってよさそうです。音色のパレットが広がり、楽器間の対話も豊かになるのを感じます。他にも、たとえばヴァイオリンのメロディをチェロが弾くという部分もありますが、奇を衒うような改変は一箇所もなく、従来のショパンのイメージを壊すような編曲はしていません。さすが、ショパンを愛するピアニスト、プレトニョフならではのセンスの良さです。 ダニール・トリフォノフは1991年ロシアのニジニ・ノヴゴロド生まれ。2010年のショパン国際ピアノ・コンクールで第3位およびマズルカ賞を獲得。その翌年にはルービンシュタイン国際コンクールとチャイコフスキー国際コンクールで相次いで優勝するという快挙を成し遂げ、一躍世界のひのき舞台に躍り出ました。トリフォノフがロシアのグネーシン音楽大学卒業後にアメリカで師事したピアニストのセルゲイ・ババヤンはプレトニョフ門下なので、トリフォノフはプレトニョフの孫弟子ということになります。二人は作曲家として活動している点も共通しています。  まさに「鬼才」と呼ぶのにふさわしいトリフォノフの演奏は、きわめて個性的。尋常でなく研ぎ澄まされた集中力から繰り出される柔軟で繊細なタッチ。映像からは、彼が、一音一音に自分のできるすべてを注ぎ込むようにピアノに向かっていることがよくわかります。「憑依型」とも言える豊かな表情も含め、彼の音楽の魅力をヴィヴィッドに捉えたコンサート映像に、あなたもきっとトリフォノフの虜になるはず。 [演目]フレデリック・フランソワ・ショパン/ミハイル・プレトニョフ編曲:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調Op.21/ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11、フレデリック・フランソワ・ショパン:幻想即興曲嬰ハ短調(遺作)Op.66、ロベルト・アレクサンダー・シューマン:『謝肉祭』Op.9~第12番「ショパン」[指揮]ミハイル・プレトニョフ[演奏]マーラー・チェンバー・オーケストラ、ダニール・トリフォノフ(ピアノ)[収録]2017年4月30日コンツェルトハウス(ドルトムント)[映像監督]ハンス・ハドゥッラ ■約1時間33分

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