初演では独奏ピアノ・パートが空白のまま、ピアノ独奏者であるベートーヴェンが即興で乗り切ったというエピソードが有名。ブッフビンダーがウィーン・フィルを弾き振りする姿は、まるでベートーヴェンのよう。
ウィーンで絶大な人気を誇る最も旬なピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダーがウィーン・フィルを弾き振りして話題を呼んだベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲映像より第3番。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中で唯一の短調で書かれた第3番は、1803年4月5日アン・デア・ウィーン劇場での初演(併せて交響曲第2番も初演)で、独奏ピアノ・パートが空白のまま、ピアノ独奏者のベートーヴェン自身が即興で乗り切ったというエピソードが有名です。19世紀、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では最も愛され頻繁に演奏された楽曲で、華麗なピアノの技巧的パッセージがみどころ。
ベートーヴェンはブッフビンダーが長年、原典版研究に取り組んできた特別な作曲家で、演奏のところどころに研究の集大成ともいえる深い解釈がうかがえます。
その誠実な人柄を表すような温かみのあるピアノと、ウィーン・フィルのまろやかな音色がぴたりと一致した見事なコンビネーションは絶妙。美しく融け合ったハーモニーが極上の音響を誇るムジークフェラインで天上の音楽さながらに響き渡ります。
[演目]ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37[ピアノ&指揮]ルドルフ・ブッフビンダー[演奏]ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[収録]2011年5月5日~8日ムジークフェラインザール(ウィーン)[映像監督]カリーナ・フィビッヒ
■約40分
(C)ORF/Ali Schafler