ハリウッド in ウィーン 2019 HOLLYWOOD IN VIENNA - A NIGHT AT THE OSCARS

配信終了:2020年03月17日 23:59

コンサート

  • 1時間35分
  • 2019
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ウィーンの新たな名物コンサート。ウィーン出身のM・スタイナーを顕彰する「ハリウッド・イン・ウィーン」に、『イングリッシュ・ペイシェント』のG・ヤレドが登場!  2007年に始まった「ハリウッド・イン・ウィーン」は、題名どおりの映画音楽の祭典。楽友協会と並ぶウィーンのクラシック音楽の殿堂コンツェルトハウスで、毎年さまざまなテーマにもとづいてスクリーン・ミュージックを紹介する華やかなコンサート・イベントです。2019年は、前半が「オスカーの夜」と題してアカデミー賞受賞作がずらり並ぶプログラム。そして後半は『イングリッシュ・ペイシェント』などで知られる作曲家ガブリエル・ヤレド自身がゲスト出演しての作品個展という2部構成で行なわれました。  前半のアカデミー賞特集には、毎年の授賞式でもおなじみの「ハリウッド万歳!」(1937年『聖林(ハリウッド)ホテル』より)から、2018年度の第91回アカデミー賞受賞作『ブラックパンサー』、同じく作曲賞、歌曲賞などにノミネートされた『メリー・ポピンズ リターンズ』まで、どこかで必ず聴いたことのあるメロディが次から次に登場します。演奏も、ヴォーカルからピアノやヴァイオリンのソロなどを迎えてじつに多彩。その豪華なガラ・コンサートを締めくくるように、『メリー・ポピンズ リターンズ』の作曲者マーク・シャイマンが客席から登場して、同映画の主題歌「幸せのありか」を弾き語りでしっとりと歌い出すシーンは前半のハイライトです。  そして後半はガブリエル・ヤレド特集。この「ハリウッド・イン・ウィーン」は、2009年以降はウィーン市が主宰する「マックス・スタイナー賞」の受賞者コンサートを兼ねて行なわれており、この年の受賞者がヤレドでした。  『風と共に去りぬ』(1939年)や『カサブランカ』(1942年)などの音楽で知られるマックス・スタイナー(1888~1971)はウィーン出身の作曲家。なにせ名付け親がリヒャルト・シュトラウス、ピアノをブラームスに習い、ウィーン楽友協会音楽院(ウィーン国立音楽大学)ではマーラーの教えも受けたという音楽エリートなのです。1919年に渡米し、RKOやワーナー・ブラザースで300本以上の映画音楽を作曲、3度のアカデミー作曲賞を獲得しています。映画音楽に後期ロマン派のスタイルを持ち込み、台詞のバックにも音楽を流す手法や、映像と緊密にシンクロさせた音楽のあり方など、ハリウッドにおけるスタイナーの功績は多大です。  「マックス・スタイナー賞」はこれまで、ジョン・バリー(2009年/007シリーズ)、ハワード・ショア(2010年/ロード・オブ・ザ・リング)、アラン・シルヴェストリ(2011年/バック・トゥ・ザ・フューチャー)、ラロ・シフリン(2012年/燃えよドラゴン)、ジェームズ・ホーナー(2013年/タイタニック)、ランディ・ニューマン(2014年/トイ・ストーリー)、ジェームズ・ニュートン・ハワード(2015年/ダークナイト)、アレクサンドル・デスプラ(2016年/グランド・ブダペスト・ホテル)、ダニー・エルフマン(2017年/ナイトメアー・ビフォア・クリスマス)、ハンス・ジマー(2018年/ライオンキング)とそうそうたる作曲家たちが受賞しています。  この日、ピアノを弾いて演奏にも加わったガブリエル・ヤレドは1949年レバノンの首都ベイルート生まれの作曲家。最初フランス映画の音楽を手がけ、のちにハリウッドにも進出。最近のハリウッドの主流ともいえる、「音響的」な作曲手法とは無縁で、深く語りかけるような彼の音楽は、数々の映画に豊かな情感を注ぎ込む大きな力となっています。最大のヒット作はまちがいなく『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年)。アカデミー賞12部門にノミネートされ、9部門でオスカーを受賞した名画です。もちろんヤレドの書いたサウンド・トラックも作曲賞を受賞しています。コンサートでは、その代表作はもちろん、幻想的で美しい彼の音楽にたっぷりと浸ることができます。オペラ・ファンなら、『抱擁』(2002年)の「アリア」を、オリジナル・サウンド・トラックと同じ、テノール歌手ラモン・ヴァルガスが歌っているのも見逃せません。  ちょっと面白いのは、第2部冒頭の「ガブリエル・ヤレド・メドレー」。当日の配布プログラムには、「未公開映画のための組曲」というタイトルが添えられており、なんのことかと思ったら、当初彼が音楽を担当していたにもかかわらず途中で契約を破棄された2作品、『ツーリスト』(2010年)と『トロイ』(2004年)の音楽が含まれています。『ツーリスト』のほうは、かろうじてサウンド・トラックに1曲だけ彼の曲が残っているのですが、『トロイ』のほうは、公開予定のわずか1か月前、完成した作品の試写会の反応を受けて差し替えられてしまった作品。しかも著作権を映画会社が保有したままなので、録音や演奏もままならず、文字どおり「お蔵入り」となってしまった作品ですから、こうやって陽の目を見るのは、ヤレドにとってもうれしいことでしょうし、この2曲をプログラムに加えた彼の意地のようなものも感じます。いずれにしても、私たちリスナーにとっても、失われた作品を耳にする貴重な機会です。  会場のウィーン・コンツェルトハウスをムーディに盛り上げる照明や映像の演出もたいへんゴージャス。このコンサートの大きな見どころとなっています。 [演目]マックス・スタイナー&ブルース・ブロートン:ハリウッド・イン・ウィーン・ファンファーレ、ジョン・ウィリアムズ編曲:ハリウッド・ゴールデン・エイジ組曲(リチャード・A・ホワイティング:映画『聖林(ハリウッド)ホテル』、アーヴィング・バーリン:映画『アニーよ銃をとれ』、アーサー・シュワルツ:映画『バンド・ワゴン』)、ハロルド・アーレン:『オズの魔法使い』~虹の彼方に、ジョージ・ガーシュウィン:映画『巴里のアメリカ人』~パリのアメリカ人/スワンダフル、ミシェル・ルグラン:映画『おもいでの夏』~メイン・タイトル、ジョン・ウィリアムズ:映画『ジョーズ』~メイン・タイトル/映画『シンドラーのリスト』~メイン・タイトル、アラン・シルヴェストリ:映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』組曲、ルドウィグ・ゴランソン:映画『ブラックパンサー』組曲、マーク・シャイマン:映画『メリー・ポピンズ リターンズ』~幸せのありか、オスカー・エンド・クレジット(アカデミー受賞曲の断片によるメドレー)、ガブリエル・ヤレド:メドレー(映画『ツーリスト』~舞踏曲ヘ長調、映画『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』、映画『メッセージ・イン・ア・ボトル』、映画『コールド マウンテン』、映画『トロイ』)/映画『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』組曲/映画『溝の中の月』~タンゴ/映画『リプリー』~ララバイ・フォー・カイン/イタリア/クレイジー・トム/映画『抱擁』~アリア/映画『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』/映画『アメリア 永遠の翼』/映画『イングリッシュ・ペイシェント』、マックス・スタイナー:映画『風と共に去りぬ』~タラのテーマ [演奏]キース・ロックハート(指揮)ウィーン放送交響楽団、カントゥス・ノーヴス(合唱)マーク・シャイマン(ピアノ、ヴォーカル)ラモン・ヴァルガス(テノール)ジュディス・ヒル(ヴォーカル)ゴルナー・シャヒール(ヴォーカル)エレナー・グラント(ヴォーカル)ジーノ・エムネス(ヴォーカル)ドリュー・サリック(ヴォーカル)オルガ・シェプス(ピアノ)ユーリ・レヴィチ(ヴァイオリン)フアンホ・モサリーニ(バンドネオン)フランティシェク・ヤーノシュカ(ピアノ)カタリーナ・ヴァッラベルガー(ギター)シモン・ヴァール(ギター)ティアン、ディアバテ&フレンズ(アフリカン・バンド)ロシオ・ムルギア(ダンス)マルティン・アコスタ(ダンス)ルサンダ・パンフィリ(ヴァイオリン)マーティン・ファス(サックス)フアン・カルロス・パニアグラ・バスタマンテ(アコーディオン)ダニエル・クレマー(ウォッシュボード)フェリペ・メディナ(ベース)モハメド・コダダディ(ドゥクドゥク)ほか [収録]2019年11月17日コンツェルトハウス(ウィーン)[映像監督]ペーター・ラビンガー ■1時間35分(番組枠) 

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