テロ・サーリネン『反射光』 Borrowed Light / Tero Saarinen

配信終了:2020年04月22日 23:59

バレエ

  • 1時間17分
  • 2014
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日本でも大きな話題を呼んだフィンランドの振付家&ダンサー、テロ・サーリネンの代表作『反射光』は、素朴な歌と、静謐な光と影の中、清教徒シェーカー派の共同体の宿命を描く。 テロ・サーリネンはフィンランドを代表する注目の振付家。北欧は様々な芸術においてコンテンポラリーが盛んですが、サーリネンは母国の国立バレエ団のソリストを務めた後、伝統的な西洋の身体表現を超えようとする中で、東洋の「舞踏」と出会います。1992年に来日し、翌年にかけて舞踏家大野一雄に師事し、また日本舞踊を学ぶなかで独自のダンス美学を生み出すことになるのです。 サーリネン・カンパニーのメンバーたちは、重心の低い、しっかりした足腰の動きを基に、上体がまるで飛翔するかのように自由な動きを見せます。黒いシンプルな舞台、繊細な照明が作る神秘的な光と影のコントラストの中、クラシカルな黒服を着た男女のダンサーたちは表情豊かに、力強く踊り、それはダンスというより「舞」のようです。 『反射光』は、サーリネンが18~19世紀の清教徒シェーカー派という、厳格な宗教的規律によって自給自足の共同生活を営む人々の姿にインスピレーションを得て生み出した作品。初演から10年後のこの上演も、ボストン・カメラータの歌うシェーカー派のどこか懐かしい民謡風のアカペラと、鍛えられたダンサーたちの「舞」とステップ、舞台美術と照明が渾然一体となった抽象的かつ透明感あふれる美しいステージとなっています。 理想を持った人たちがコミュニティを作り、初めのうちは素朴な喜びと活気に満ちていたのですが、次第にそんな牧歌風な空気に影が忍び込んでくる…。閉鎖的な生活の中での人々の対立や葛藤がやがて大きな軋みを生み、遂にはカタストロフを迎えるという流れは、人間のコミュニティがもつ普遍的な現実かもしれません。その無常観には胸が詰まります。しかし、ボストン・カメラータの澄んだ歌と一体となったサーリネン振付の「舞」は、そのまま視覚的な「音楽」となって昇華し、素朴な人々の営みは「芸術」となっていく…。それは舞(ダンス)の持つ“根源的な祈り”を感じさせ、観る者を慰めてくれるかのようです。 [振付]テロ・サーリネン[音楽監督]ジョエル・コーエン、アンヌ・アゼマ[照明]ミッキ・クント[衣装]エリカ・トゥルネン[出演]テロ・サーリネン・カンパニー、ボストン・カメラータ(歌)[収録]2014年3月15日シャイヨー宮国立劇場(パリ)[監督]ルイーズ・ナルボニ ■約1時間17分

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