ザルツブルク音楽祭2018『サロメ』 Strauss - "Salome" - Salzburger Festspiele

配信終了:2020年06月15日 23:59

オペラ

  • 1時間59分
  • 2018
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闇の中に曖昧に浮かぶ登場人物たち。観る者を刺激し挑発するかのような、「舞台上の魔術師」カステルッチの手強い演出。新星グリゴリアンの歌うサロメが圧倒的! 毎年7~8月に開かれるザルツブルク音楽祭は、旬の注目アーティストたちが世界中から集まる、クラシック音楽界の最前線。まさに「祭典」の名にふさわしい大イベントです。その華やかな舞台で、今年新制作上演された楽劇『サロメ』(リヒャルト・シュトラウス)のヨーロッパ中継映像をお楽しみください。フランツ・ウェルザー=メスト指揮、ロメオ・カステルッチ演出、アスミク・グリゴリアンのサロメという顔ぶれによるプロダクションは開幕前から注目を集めていました。 異彩を放っているのは、まずなんといってもカステルッチの演出です。「舞台上の魔術師」の異名をとるカステルッチの世界観は、2017年バイエルン国立歌劇場来日公演『タンホイザー』で日本のオペラ・ファンの間でも大きな話題になりましたが、この『サロメ』のプロダクションも刺激的、挑発的、そしてかなり難解です。冒頭5分間にもおよぶ長い沈黙劇。真っ黒い闇の中で存在が曖昧な登場人物たち。その中でひとり際立つサロメの白い衣裳。そしてその腰部の一点の血痕の赤。踊らない「7つのヴェールの踊り」。首のないヨカナーンの胴体と馬の首……。オペラ冒頭で紗幕に掲げられた「Te Saxa Loquuntur(ラテン語=石がお前のことを話している)」という文言は、劇場にも近いジークムント門トンネルの入口に刻まれている銘です。それらさまざまな象徴的な仕掛けが何を意味するのか、カステルッチは語っていません。ぜひ番組をご覧になって、自由に想像をめぐらせてみてください。 指揮は、2018年11月にウィーン・フィルを率いて来日するウェルザー=メスト。2014年にウィーン国立歌劇場音楽監督を突如辞任して世間を驚かせた彼ですが、ここザルツブルクではそれ以降も毎年ウィーン・フィルを振ってオペラを上演しており、特に、『ばらの騎士』(2014年、2015年)、『ダナエの愛』(2016年)、そして今年の『サロメ』と、R・シュトラウスを積極的にとりあげているのが目を引きます。かつてウェルザー=メストはウィーン・フィルの『サロメ』について次のように語っていました。「作曲家のイメージした世界を、多様な色彩感、自由で即興的な速度と音量の揺れ、そしてなによりも世紀末の雰囲気をこれほど見事に再現できるのはウィーン・フィルをおいて他にはない。ウィーンの『サロメ』こそ、稀代の管弦楽法の名人であったR・シュトラウスの真髄を伝えるものだ」(2012年来日に際してのインタビュー)。今回の上演では、演出と同様に、けっして「カラフル」ではない、影の濃淡で表現するような巧みな色彩表現をオーケストラから引き出しています。 そして理屈抜きに素晴らしいのがサロメを歌うリトアニア出身の新星アスミク・グリゴリアン。昨年の同音楽祭で『ヴォツェック』のマリーを歌って大きな成功を収めた彼女は、ここでも圧倒的な声の威力と巧みな表情づけで狂気の少女サロメの内面を劇的に表現しきって大喝采を浴びています。ヨカナーンのガボール・ブレッツの深く柔らかなバス、豊かな表現のヘロデ王のジョン・ダスザックという主要役はもちろん、脇を固めるナラボートのユリアン・プレガルディエンのあくまで美しいテノールも際立った歌唱で、これぞザルツブルク音楽祭!さすがの懐の深さと貫禄を示しています。 [出演]アスミク・グリゴリアン(サロメ/ソプラノ)ジョン・ダスザック(ヘロデ王/テノール)アンナ・マリア・キウーリ(ヘロディアス/アルト)ガボール・ブレッツ(ヨカナーン/バス)ユリアン・プレガルディエン(ナラボート/テノール)エイヴリー・アムロー(ヘロディアスの小姓/アルト)マテウス・シュミットレヒナー(ユダヤ人1/テノール)マティアス・フレイ(ユダヤ人2/テノール)パトリック・フォーゲル(ユダヤ人3/テノール)イェルク・シュナイダー(ユダヤ人4、奴隷/テノール)ダヴィッド・シュテッフェンス(ユダヤ人5/バス)ティルマン・レンネベック(ナザレ人1/バス)パヴェル・トロヤク(ナザレ人2/バリトン)ネヴェン・クルニッチ(カッパドキア人/バス)ヘニング・フォン・シュールマン(兵士1/バス)ダション・バートン(兵士2/バス・バリトン) [演目]リヒャルト・シュトラウス:1幕の楽劇『サロメ』[台本]オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』(ヘートヴィヒ・ラハマンのドイツ語訳)[演出・装置・衣裳・照明]ロメオ・カステルッチ[振付]シンディ・ヴァン・アッカー[指揮]フランツ・ウェルザー=メスト[演奏]ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[収録]2018年7月28日フェルゼンライトシューレ(ザルツブルク)「ザルツブルク音楽祭2018」[映像監督]ヘニング・カステン ■字幕/全1幕:約1時間59分

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