グリモー「ピアノ・リサイタル『Woodlands and Beyond』」 Woodlands and Beyond…

配信開始:2020年04月13日 06:00

コンサート

  • 1時間5分
  • 2017
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グリモー「ピアノ・リサイタル『Woodlands and Beyond』」 自然との共生をライフワークとして活動するエレーヌ・グリモーが、森の映像が映し出される巨大スクリーンの前で演奏する、森と水の音楽。  ピアニストとしてのエレーヌ・グリモーが、繊細なタッチから繰り出される美しい抒情と、けっして停滞することのない音楽の力強さを併せ持つ、類いまれな音楽家であることは誰もが認めるところでしょう。一方で、自然との共生はグリモーのライフワークです。ニューヨークにオオカミの保護センターを設立して、その生態研究に熱心に取り組む活動はよく知られています。番組でお届けする「ウッドランド・アンド・ビヨンド」は、その彼女の姿勢がダイレクトに形になったようなコンサート。「森─森の向こう」というようなニュアンスになるでしょうか。さまざまな森の映像が映し出される巨大スクリーンの前で演奏しているのは、ハンブルクのエルプフィルハーモニーのステージです。2017年から2018年にかけて、ここハンブルクでの2回の公演を皮切りに、グリモーはこの企画を携えてヨーロッパ7都市をめぐりました。  演奏されている曲目は、2016年にドイツ・グラモフォンからリリースされたグリモーのアルバム『ウォーター』の収録曲と同一のプログラムです。すなわち、ベリオで始まり、武満、フォーレ、ラヴェル、アルベニス、リスト、ヤナーチェク、ドビュッシーの、「水」に関連したタイトルを持つ曲を、英国の作曲家ニティン・ソーニー(1964年生まれ)がCDのために書き下ろした「トランジション」でつなぐ構成。企画の意図を理解するための補足として、アルバム『ウォーター』に掲載されている前島秀国氏の解説をもとに、この企画の成立過程を整理しておきましょう。  ソーニー作品以外の8曲はもともと、2014年にニューヨークで展示された大規模なインスタレーション「tears become... streams become...(涙は…になり、流れは…になる)」の一部としてグリモーが演奏したプログラムでした。巨大な倉庫跡の会場に46万リットルの水を流し込み、その水面にピアノが浮いた(ように見える)状態で弾いたのです。  次に、そのプログラムをCD化するにあたって、グリモーが「水」の代わりに加えたのがソーニーのトランジションでした。アンビエント的に「水」を表現するような独特の音楽は、まさにそうした意図にかなったものといえるでしょう。  そしてさらに、ソーニーのトランジションも含めた『ウォーター』全体を、新たに映像インスタレーションとコラボしたのが、この「ウッドランド・アンド・ビヨンド」なのです。森の写真は、ドイツ人の写真家マット・ヘネックの作品。彼はグリモーの私生活のパートナーでもあります。もともとはレコード会社などのために、たくさんのクラシック演奏家のポートレートを撮っていたフォトグラファーで、もちろんそのアーティストの一人にグリモーがいたわけです。  映像で見ると、巨大スクリーンの前のグリモーは、まるで本物の自然の中で演奏しているかのよう。水がなければ森は形成されませんし、豊かな森は澄んだ水を生み出します。私たち人間の営みもまた、その自然のサイクルの中にあることを忘れてはなりません。静かな水面に落ちる一滴の水が波紋となって広がるように、グリモーの澄んだ音楽が私たちの心の中に静かにしみわたる、美しいコンサートです。 [ピアノ]エレーヌ・グリモー [写真]マット・ヘネック [曲目] ルチアーノ・ベリオ:水のピアノ~6つのアンコール第3曲―アントニオ・バリスタのための ニティン・ソーニー:ウォーター―トランジション1 武満 徹:雨の樹素描Ⅱ~オリヴィエ・メシアンの追憶に ニティン・ソーニー:ウォーター―トランジション2 ガブリエル・フォーレ:舟歌第5番嬰へ短調Op.66 ニティン・ソーニー:ウォーター―トランジション3 モーリス・ラヴェル:水の戯れ ニティン・ソーニー:ウォーター―トランジション4 イサーク・アルベニス:アルメリア~『イベリア第2巻』第2曲 ニティン・ソーニー:ウォーター―トランジション5 フランツ・リスト:エステ荘の噴水~『巡礼の年第3年』第4曲 ニティン・ソーニー:ウォーター―トランジション6 レオシュ・ヤナーチェク:アンダンテ~『霧の中で』第1曲 ニティン・ソーニー:ウォーター―トランジション7 クロード・ドビュッシー:沈める寺~『前奏曲集第1巻』第10曲 [収録]2017年6月26日、ハンブルク、エルプフィルハーモニー [映像監督]フランソワ=ルネ・マルタン ■65分(番組枠)

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