ザルツブルク音楽祭2003『皇帝ティートの慈悲』 La Clemenza di Tito (Mozart 22)

配信終了:2020年06月29日 23:59

オペラ

  • 2時間50分
  • 2003
  • -

-

2003年ザルツブルクで実現した奇跡!巨匠アーノンクールがドリーム・キャストを結集。モーツァルト最後のオペラの人間ドラマに新たな光を当てた決定版上演。  「天才モーツァルトの名に値する価値のない作品」と揶揄されがちだったのはいまや昔の話。モーツァルト最後のオペラ『皇帝ティートの慈悲』は、その音楽の素晴らしさゆえ、またオペラ・セリアの改革を進めた重要作としても、その人気が定着しつつあります。2003年のザルツブルク音楽祭、ニコラウス・アーノンクール指揮、豪華なオールスター・キャストの歌手陣による上演の模様をお楽しみください。  『皇帝ティートの慈悲』は、『魔笛』と同じ1791年、モーツァルト最晩年に作曲されたオペラです。『魔笛』より先に上演されていますが、作曲自体はこちらがあと後なので、この作品こそがモーツァルト最後のオペラということになります。そして同時に、音楽が登場人物の心理をえぐり出すような濃厚な表情を持っているという点で、19世紀のロマン派のオペラを先取りした作品でもあるのです。  ローマ時代。先帝の娘ヴィッテリアは現皇帝ティートの妃の座を狙っていますが、それを果たせないと知るや、彼女に思いを寄せるセストを使って皇帝暗殺を企てます。セストは皇帝の親友。葛藤の末に計画を実行するものの失敗に終わり、捕らえられます。愛するヴィッテリアが黒幕であることを隠したまま、ひとり罪をかぶろうとするセストの姿に、ついにヴィッテリアは自分の罪を白状するのですが、ティートは寛大にすべてを許し、人々の幸福のために生きることを宣言します。  番組でお届けするのは、ザルツブルク音楽祭らしい夢のような顔ぶれの歌手陣が、アーノンクールのもとに集結した上演。全員がその力を遺憾なく発揮して、類まれな充実した舞台を楽しむことができます。まずは女声陣。物語の軸となるヴィッテリア役のドロテア・レッシュマンとセスト役のヴェッセリーナ・カサロヴァが圧巻です。歌が巧みなのはもちろんのこと、画面に大写しになる細かな表情やしぐさまですべてが演劇的な表現につながる、パーフェクトな演技を見せています。そしてセストの妹でティートに求婚されるセルヴィリア役のバーバラ・ボニーと、その恋人アンニオ役のエリーナ・ガランチャも十全のできばえで、この4人がオペラの骨格をがっしりと支えています。そして題名役のミヒャエル・シャーデのリリカルなテノールもじつに能弁。ややもすると女声陣の存在感に押されて貧弱に見えてしまう役柄に、新たな光を当てたとさえ言える名演です。  演出のマルティン・クシェイはミュンヘンの新レジデンツ劇場の芸術監督を務めるスロヴェニア系ドイツ人。ドイツのニュース雑誌『フォーカス』は彼を、「21世紀のドイツ語圏の劇場の最も重要な芸術監督10人」に選出しています。クシェイはオペラの舞台を現代に読み替えました。ティートが君臨するのはローマ帝国ではなく、どこかの自治体なのか組織なのか、もっとずっと小さなコミュニティです。それは、反比例的に人間の内面ドラマをクローズアップすることにもつながっています。しかしけっして奇をてらった独善的な手法ではなく、フェルゼンライトシューレの多層アーチの背景を巧みに生かした演出は、一瞬たりともモーツァルトの音楽を阻害していません。そしてそのことで、モーツァルトの音楽自体に封じ込まれていた人間の濃厚な心理的葛藤を、初演から200年以上たった現代に、ようやく明らかにしたのです。決定版の上演。どうぞお見逃しなく。 [出演]ミヒャエル・シャーデ(ティート/テノール)ドロテア・レッシュマン(ヴィッテリア/ソプラノ)バーバラ・ボニー(セルヴィリア/ソプラノ)ヴェッセリーナ・カサロヴァ(セスト/メゾ・ソプラノ)エリーナ・ガランチャ(アンニオ/メゾ・ソプラノ)ルカ・ピサローニ(プブリオ/バス) [指揮]ニコラウス・アーノンクール[演奏]ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[合唱]ウィーン国立歌劇場合唱団(合唱指揮=ルペルト・フーバー) [演目]ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:歌劇『皇帝ティートの慈悲』[演出]マルティン・クシェイ[舞台]ヘルムート・シャウアー[照明]ノルベルト・ピラー[衣裳・メイク]ドロテア・ニコライ [収録]2003年8月、フェルゼンライトシューレ(ザルツブルク音楽祭ライヴ)[映像監督]ブライアン・ラージ ■全2幕/字幕:2時間50分(番組枠)

おすすめ