ロッシーニ・オペラ・フェスティバル2010『デメトリオとポリビオ』 Demetrio e Polibio

配信終了:2020年09月28日 23:59

オペラ

  • 1時間58分
  • 2010
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聖地ペーザロで復活したロッシーニのオペラ処女作!のちのロッシーニらしさも随所に感じられるフレッシュな作品の貴重な上演機会。幻想的な炎の演出が彩る。 ジョアキーノ・ロッシーニ(1792–1868)が生涯に書いた39のオペラのうち、劇場で頻繁に上演されているのは、ほんのひと握りにすぎません。歴史の中に埋もれ、忘れられていた作品を復活上演し、「ロッシーニ・ルネサンス」を巻き起こしているのが、ロッシーニの生地ペーザロで1980年に始まった「ロッシーニ・オペラ・フェスティバル(ROF)」。2010年のROFは、なかでも特に上演機会が少ない『デメトリオとポリビオ』が取り上げられ、ファンの注目を集めました。まさにROFの面目躍如の試みです。 『デメトリオとポリビオ』は、ロッシーニが作曲した最初のオペラ。1812年5月にローマで初演されたことが判明していますが、ごく一部を除いて自筆譜などの一次資料がなく、作品の成立に関する詳細はまだわかっていません。作曲を依頼したのは、テノール歌手で作曲家のドメニコ・モンベッリ(1751–1835)という人物で、彼が二人の娘たちと組織していた小さなオペラ一座での上演を前提に書かれました。ロッシーニは、モンベッリの妻が書いた台本を数曲ずつ渡され、全体のあらすじも知らずに作曲したといわれています。はたしてどこまでをロッシーニが作曲したのか、あるいはロッシーニが書いた音楽にモンベッリが手を加えたのかどうかなども定かではないものの、ロッシーニらしさは随所で確実に確認することができます。 物語は紀元1~2世紀頃。シリアの使者エウメーネ(実はシリア国王デメトリオ)がパルティア王ポリビオを訪ね、ポリビオのもとにいる身元不明の青年シヴェーノが、実は自分の親友の息子であるから返還するようにと迫ります。しかしシヴェーノを愛し、娘リジンガと結婚させて正式に後継者にしようとしているポリビオはこれを拒否。両国間の争いに発展しようかというとき、シヴェーノが実はデメトリオの実の息子であることが判明し、めでたく和解します。 かつては歌手として舞台にも立っていたという1966年トリノ生まれのダヴィデ・リヴェルモーレの演出は、『オペラ座の怪人』よろしく、深夜のオペラ劇場に現れる亡霊たちがこのオペラを演じるというもの。亡霊たちは、劇場にさまよい続けるモンベッリ一座の面々なのかもしれません。彼らには同じ扮装の分身たちが付いていますが、リヴェルモーレによれば、これは心理学的な別人格を示す演出ではなく、彼らは亡霊なので肉体がなく、瞬時に移動したり、あちこちに同時に現れたりすることを表現しているのだそうです。また、キーアイテムとして、登場人物の手のひらで燃える炎が重要な役割を果たしますが、これはどうやら本物の炎のようで、なんとも摩訶不思議。リヴェルモーレは、100年も前からある奇術のトリックだと説明しています。 歌手陣は、ROFで注目を集める若手から中堅世代のベルカント・エキスパートたち。主役のエウメーネ役は、作品の委嘱者がテノール歌手だっただけあって、美味しいところを持っていっている観がありますが、同役を歌う、日本の東邦音楽大学で学んだ中国人テノール石倚潔(シー・イージェ)の繊細な声と豊かな表現力は、強い印象を残します。  なお、この『デメトリオとポリビオ』は、2019年のROFで再演されることが発表されています。 [出演]マリア・ホセ・モレーノ(リジンガ/ソプラノ)ヴィクトリア・ザイツェヴァ(デメトリオ(シヴェーノ)/メゾ・ソプラノ)石倚潔<シー・イージェ>(デメトリオ(エウメーネ)/テノール)ミルコ・パラッツィ(ポリビオ/バス) [演目]ジョアキーノ・ロッシーニ:2幕のドランマ・セリオ『デメトリオとポリビオ』(ダニエーレ・カルニーニ校訂版)[台本]ヴィンチェンツィーナ・ヴィガノー・モンベッリ[演出]ダヴィデ・リヴェルモーレ[装置&衣裳]アカデミア・ディ・ベッレ・アルティ・ディ・ウルビーノ[照明]ニコラス・ボヴェイ[指揮]コッラード・ロヴァリス[演奏]ロッシーニ交響楽団、プラハ室内合唱団、ジャンニ・ファッブリーニ(フォルテピアノ)アンドレア・アゴスティネッリ(通奏低音チェロ)[合唱指揮]リュボミール・マートル[収録]2010年8月10日テアトロ・ロッシーニ(ペーザロ)「ロッシーニ・オペラ・フェスティバル2010」[映像監督]ティツィアーノ・マンチーニ ■字幕/全2幕:約1時間58分

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