ザルツブルク音楽祭2017『アリオダンテ』 Salzburg Festival 2017: Ariodante

配信終了:2020年11月16日 23:59

オペラ

  • 3時間37分
  • 2002
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バルトリがヒゲづらにドレス!? 男女の区別が錯綜するような配役と演出で、再評価著しいヘンデル・オペラの代表的傑作が上演された2017年ザルツブルク音楽祭 2019年にリリースされたアルバム『ファリネッリ』のジャケット写真で、大胆なヒゲづらメイクが大きな話題を呼んだメゾ・ソプラノのチェチーリア・バルトリ。おそらくそのアイディアの素となったのが、今回お送りする2017年ザルツブルク音楽祭でのヘンデル『アリオダンテ』のプロダクションです。 件のCDジャケット同様に、バルトリがヒゲづらにドレス姿という、なんとも違和感のあるいでたちに扮したのがこの公演。演じているのは表題役のアリオダンテで、初演の際には著名なカストラートのジョヴァンニ・カレスティーニが歌った、男性の役です。カストラートに代わって女性歌手が歌う現代ならではの演出ということになるのでしょう。そのショッキングな姿は、公演ポスターにも使われて多くのファンの目を引きました。 カストラートが歌ったアリオダンテを女性歌手が演じる一方で、初演では女性アルトが男役として歌った敵役のポリネッソを、ここではカウンターテナーのクリストフ・デュモーが演じているので、ちょうど性別が逆転した格好。そしてバルトリのアリオダンテは、最後はヒゲを剃って女性の姿で現れるので、見ていてちょっとしたジェンダーの混乱を誘う効果のある演出になっています。 そのバルトリとデュモーはじめ、アリオダンテの婚約者ジネーヴラのキャサリン ・レウィック(ソプラノ)、侍女ダリンダのサンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)、スコットランド国王のネイサン・バーグ(バリトン)ら、登場人物が次々と圧巻のアジリタのメリスマを聴かせ、人間の声というのはこのようにコロコロと転がるものなのかと唖然。やがてそれが病みつきの快感となってどっぷりハマる、恍惚の3時間半です。 また、アリオダンテの弟ルルカーニオを演じているのがロランド・ビリャソン。彼のバロック・オペラはやや意外な観もありますが、ヘンデル・アルバムも録音している現代を代表するテノールが、貫禄ある骨太のバロック歌唱を聴かせています。 ジャンルカ・カプアーノ率いるレ・ミュジシャン・デュ・プランス=モナコも、古楽オーケストラならではの色彩豊かなサポート。第1幕の王のアリアの、ホルン奏者が舞台上で吹いて王と掛け合う場面も見どころのひとつで、二人の奏者にも盛んにブラヴォーが飛んで大きな拍手を受けています。 スコットランド国王の娘ジネーヴラは、騎士アリオダンテと婚約中。しかし彼女に横恋慕するポリネッソの策略で、彼と不貞を働いたという濡れ衣を着せられます。愛する女性に裏切られたと思い込んで絶望したアリオダンテは自殺を図り、父王は不義の娘に死刑を宣告。しかし一命を取り留めたアリオダンテが戻ると、真実が明かされ、ハッピーエンドで幕を閉じます。 アリオダンテとジネーヴラの二人の愛の行方はもちろん、わが娘への愛と王としての正義の板挟みになる父王の苦悩、ポリネッサの奸計で、そうとは知らずに主人を裏切る仕掛け人にされてしまうアリオダンテの侍女ダリンダの焦燥、姉の無実を信じ、ダリンダへの想いを遂げる弟ルルカーニオの情熱。ドラマ的にも見どころの尽きない、注目すべき傑作です。 [演目] ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル:3幕のドランマ・ペル・ムージカ『アリオダンテ』 [出演] チェチーリア・バルトリ(アリオダンテ/メゾ・ソプラノ) ネイサン・バーグ(スコットランド国王/バリトン) キャサリン ・レウィック(ジネーヴラ/ソプラノ) ロランド・ビリャソン(ルルカーニオ/テノール) クリストフ・デュモー(ポリネッソ/カウンターテナー) サンドリーヌ・ピオー(ダリンダ/ソプラノ) クリストファー・ルンディン(オドアルド/テノール) [演奏] ジャンルカ・カプアーノ(指揮) レ・ミュジシャン・デュ・プランス=モナコ(モナコ公の音楽家たち) ザルツブルク ・バッハ合唱団(合唱指揮=アロイス・グラスナー) [演出]クリストフ・ロイ [舞台美術]ヨハネス・ライアッカー [衣裳]ウルズラ・レンツェンブリンク [照明]ロラント・エートリヒ [振付]アンドレアス・ハイゼ [収録]2017年、ザルツブルク、モーツァルトのための劇場(祝祭小劇場)(ザルツブルク 音楽祭ライヴ) [映像監督]ティツィアーノ・マンチーニ

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