バレンボイム「ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲」演奏会Vol.1 Beethoven, The Piano Trios

配信終了:2021年01月01日 23:59

コンサート

  • 2時間10分
  • 2019
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ベートーヴェン・イヤーに向けて現代の巨匠が気鋭の若手たちと取り組んだ珠玉のピアノ三重奏曲ツィクルス。大作曲家の希望と野心に満ちた「作品1」の3曲でスタート!  ベートーヴェンの生誕250年に向けて、ベルリンのピエール・ブーレーズ・ザールでは器楽・室内楽の4つの中心ジャンルに焦点を当てたベートーヴェン・ツィクルスを企画しました。ピアノ・ソナタ、弦楽四重奏曲、ヴァイオリン・ソナタ、そしてピアノ三重奏曲。番組は2019年12月、249回目の誕生月に、ダニエル・バレンボイムが、二人の若手奏者とともに行なったピアノ三重奏曲のツィクルス、その第1夜の模様です。  22歳になる直前にウィーンに進出したベートーヴェンが、その3年後に作曲家として初めて出版した「作品1」がピアノ三重奏曲第1~3番の3曲のセットです。ベートーヴェンの全創作の中でいえば中期の始まりに当たる時期。作曲家としての書法や個性を確立していく時期に軸となったのがこのジャンルでした。ピアノ三重奏曲の書法の変遷を追うことは、「大作曲家ベートーヴェン」が形作られていく過程を見ることでもあります。  バレンボイムがこのプロジェクトに迎えたのは、自らの次男であるヴァイオリニストのマイケル・バレンボイムと、現在彼が積極的にバックアップしている注目のチェリスト、キアン・ソルターニです。二人ともバレンボイム率いるウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団の首席奏者を務めています。  オーストリア生まれのイラン人チェリストのソルターニは公演当時27歳。2020年にはバレンボイムとシュターツカペレ・ベルリンが伴奏を務めるドヴォルザークの協奏曲をドイツ・グラモフォンからリリースするなど、世代を代表する奏者の一人です。映像で見る弾きっぷりからも、その豊かな音楽性や歌ごころが十分に伝わってきます。  若い二人の真摯な演奏にいっそう生き生きとした生命を吹き込んでいるのは間違いなくバレンボイムのピアノです。一切の虚飾のないごく自然なタッチの巨匠の10本の指から繰り出される多彩な表情。その支えの上で、ヴァイオリンとチェロが自由に振る舞って、ピアノの名技性と2つの弦楽器の独立性を両立させたベートーヴェンのピアノ三重奏曲の新しさが十全に発揮されています。  2夜にわたるツィクルスの第1夜は、ピアノ三重奏曲第1~3番と、第5番の4曲が演奏されました。  前述のように、ピアノ三重奏曲第1~3番はベートーヴェンの「作品1」です。すでに人気ピアニストとして有名になっていたベートーヴェンが満を持してウィーン楽壇に問うた自信作。作曲家としての成功への希望と野心が込められています。その挑戦は一定以上の成果を収め、ベートーヴェンはこの予約出版でかなりの収入を得ることもできました。第1番は、ウィーンに出る直前にボンで書かれたと考えられており、3曲の中では確かにシンプルで穏やかな書法を示しています。一方で最後に完成したと考えられている第3番は、ベートーヴェンにとって象徴的な意味を持つハ短調の作品。師のハイドンが進歩的すぎて聴衆には理解できないので出版を見合わせるように忠告したというエピソードが伝えられているほどの、新しい音楽でした。この3曲を続けて聴くだけでも、すでにベートーヴェンの作風の変遷をまざまざと実感できるはずです。  ピアノ三重奏曲第5番は、それから10数年後、交響曲第5番『運命』や第6番『田園』、あるいはピアノ協奏曲第5番『皇帝』などと同じ時期、いわゆる「傑作の森」と呼ばれる創作の絶頂期に作曲された充実作。『幽霊』という愛称は第2楽章の神秘的な雰囲気に由来しています。  なお、『街の歌』の愛称のある第4番変ロ長調Op.11は、もともとピアノ、チェロとクラリネットのための三重奏曲だったものを、クラリネットをヴァイオリンに代えて編曲した作品です。このツィクルスではプログラムに組み込まれていませんでした。 [曲目] ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン: ピアノ三重奏曲第1番変ホ長調Op.1-1 ピアノ三重奏曲第3番ハ短調Op.1-3 ピアノ三重奏曲第2番ト長調Op.1-2 ピアノ三重奏曲第5番ニ長調『幽霊』Op.70-1 [演奏] ダニエル・バレンボイム(ピアノ) マイケル・バレンボイム(ヴァイオリン) キアン・ソルターニ(チェロ) [収録]2019年12月1、4日 ベルリン、ピエール・ブーレーズ・ザール [映像監督]フレデリック・デレスク

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