【クラシカジャパンから重要なお知らせ】

「クラシカ・ジャパン プラス」は2021年3月31日(水)を持ちまして配信を終了することとなりました。 詳しくはホームページよりご確認ください。

ザルツブルク音楽祭2020「ドゥダメル&ウィーン・フィル」キーシンを迎えて Salzburg Festival 2020 WPhil Dudamel

配信終了:2021年03月31日 23:59

コンサート

  • 1時間20分
  • 2020
  • -

目下飛ぶ鳥を落とす勢いのライジング・スター、ドゥダメルが、ウィーン・フィルとの相性の良さをあらためて見せつけた『火の鳥』に大喝采!


 新型コロナウイルス感染症の流行のため、一時は開催が危ぶまれた創立100周年のザルツブルク音楽祭。予定より規模を縮小して8月1日から30日まで行われた音楽祭の最終盤、祝祭大劇場で行われたグスターボ・ドゥダメルとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートの模様をお届けします。前半にエフゲニー・キーシンを独奏に迎えてフランツ・リストのピアノ協奏曲第1番、後半がイーゴリ・ストラヴィンスキーの『火の鳥』というプログラム。聴衆同士の感染リスクを避けるために、休憩なしで行われた公演でした。
 歴史を辿れば、100年前も逆境のなかでのスタートでした。第一次世界大戦でのオーストリアの敗戦、そして戦争末期に世界を覆った「スペインかぜ」の脅威のなかで始まったザルツブルク音楽祭。はからずも再びパンデミックに見舞われたなかでの音楽祭開催には国内でも賛否両論があったはずですが、彼らの決断には、この音楽祭のDNAに潜在的に組み込まれているであろう、困難に立ち向かう勇気やしたたかさも感じます。準備期間中にスタッフ一人の感染が報じられましたが、それ以外に一人の感染者も出さなかったことは、感染防止対策という点で、ひとまずは大成功だったと言ってもよいでしょう。
 「スペインかぜ」は音楽界にもさまざまな影響を与えました。当然ながら音楽家のなかにもたくさんの感染者が出ており、『火の鳥』の作曲者ストラヴィンスキーもその一人です。
 1918年、大戦とロシア革命の混乱で経済的な苦境にあったストラヴィンスキーは、奏者7人という小編成で演奏できる『兵士の物語』で各地を巡業して収入を得ようと目論んでいました。しかし初演後に自らが感染してしまい、また巡業の関係者も次々に感染したために計画は中止となってしまったのです。成功作である『火の鳥』の編成を縮小して1919年版組曲を作ったのも、そんな、金銭的にも人的にも疲弊したヨーロッパ楽壇の事情を鑑みて、どの楽団でも演奏しやすい版にすることで収入を得るためという説もあります。
 しかし2020年のコロナ禍のザルツブルクでドゥダメルとウィーン・フィルが演奏した『火の鳥』は、1910年初演の全曲版。このあと、11月の来日公演でも披露してくれたのと同様、堂々たる4管編成。演奏風景だけを見ればコロナ前の日常と変わりません。
 ドゥダメルが初めてウィーン・フィルを指揮したのは26歳のとき。2007年のルツェルン音楽祭でした。ザルツブルク音楽祭には、2008年のシモン・ボリバル・ユース・オーケストラとの初出演を経て、翌2009年にウィーン・フィルとのコンビで再登場。ストラヴィンスキーの『春の祭典』を指揮しています。さらにその翌年にはウィーンでの定期演奏会を初指揮。以降、2014年の日本公演や、2017年のニューイヤー・コンサートなど、両者の蜜月ぶりは際立っています。
 デビュー当時の、シモン・ボリバルを指揮した演奏からは、切れのよいアグレッシヴな指揮者という印象もあるかもしれませんが、ここで見るドゥダメルの指揮は、とても丁寧かつ明瞭であることがわかります。バトン・テクニックの面だけでなく、非常に見通しのよい設計で音楽を運んでいるのです。だからこそ、でしょう。ウィーン・フィルがじつに気持ちよさそうに弾いています。両者のコラボから、今後もしばらく目が離せません。
 一方、プログラム前半のキーシンは貫禄十分。2021年には50歳を迎えるキーシン。颯爽としたクールなテクニックに深みが加わった弾きっぷりで、鮮やかで劇的なリストを聴かせています。ソリスト・アンコールの『小犬のワルツ』も安定の軽やかさ。画面越しに思わず口笛を鳴らしたくなる快演です。

[演奏]
エフゲニー・キーシン(ピアノ)
グスターボ・ドゥダメル(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

[曲目]
フランツ・リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
フレデリック・ショパン:ワルツ 変ニ長調Op.64-1『小犬のワルツ』(ソリスト・アンコール)
イーゴリ・ストラヴィンスキー:バレエ音楽『火の鳥』全曲

[収録]2020年8月27、29日 ザルツブルク祝祭大劇場、ザルツブルク音楽祭ライヴ
[映像監督]ミヒャエル・ベイヤー

キャスト

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スタッフ

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