ザルツブルク音楽祭2019『イドメネオ』 IDOMENEO

配信終了:2020年11月23日 23:59

オペラ

  • 3時間5分
  • 2002
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あの鬼才コンビが2年ぶりにザルツブルクに戻ってきた! 指揮者クルレンツィスと演出家セラーズの『イドメネオ』は、今年の音楽祭の目玉公演。 2017年にモーツァルトの『皇帝ティートの慈悲』で旋風を巻き起こした、指揮者テオドール・クルレンツィスと演出家ピーター・セラーズの鬼才コンビが、2年ぶりにザルツブルク音楽祭に戻ってきました。今度は同じモーツァルトの『イドメネオ』。前回のオーケストラはクルレンツィスの手兵ムジカ・エテルナでしたが、今回は彼がフライブルク・バロック管弦楽団を指揮しているのも大きな見どころのひとつです。8月に閉幕したばかりの2019年ザルツブルク音楽祭からの撮れたて映像でお楽しみください。作品は全3幕ですが、第1幕と第2幕を切れ目なく上演しています。 2年前の『皇帝ティートの慈悲』では、モーツァルトの弟子のジュスマイヤーが書いたレチタティーヴォをカットし、その代わりというわけではないですが、数か所にモーツァルトのほかの作品を挿入するなど大胆な改変を施していましたが、今回も同じようなアプローチを試みています。驚かされるのは、第3幕の冒頭に、モーツァルトの劇付随音楽『エジプトの王タモス』のバス独唱と合唱の曲を挿入していること。これは「塵(ちり)の子らよ、神に背くな。震えおののくがよい!」と歌う歌詞の内容が、人間たちが海神ネプチューンに立ち向かおうとするこの場面にふさわしいという理由のようです。 舞台の上にゴロゴロと転がっているのは、どうやらペットボトルなどの、海を漂うプラスチックごみのようです。同じものは空中にも浮かんでいて……とすると物語はすべて海の中で進行しているということになるのでしょう。演出のセラーズは、海洋汚染などの環境問題に警鐘を鳴らしているのです。それはオペラの最終場でも明らかになります。モーツァルトはオペラの最後に長大なバレエ音楽を置きました。それは、初演した、当時のミュンヘンの宮廷劇場にそれが可能なバレエ団があったという充実ぶりを物語っているのですが、セラーズはその豪華なバレエ・シーンを、なんとたった2人のダンサーに委ねました。サモア出身の舞踏家レミ・ポニファシオ振付によるエスニックなダンスを踊る男女。女性ダンサーはハワイ出身ですが、男性のほうはキリバス人です。キリバス共和国は地球温暖化の影響で国土のほとんどが水没の危機に瀕している島国。ダンサーの起用にも、政治的なメッセージをあえて鮮明にしているのはセラーズの面目躍如たるところです。 キャストでは女声陣がやや優勢でしょうか。捕虜として捕らえられたトロイアの王女イリア役を演じる中国人ソプラノのイン・ファンは、声に可憐さと王女の威厳を兼ね備えて凛とした美しさ。そのイリアの禁断の恋の相手である、敵対するギリシアのクレタ島の王子イダマンテは、もとはカストラートのための役。アイルランド出身のメゾ・ソプラノ、ポーラ・マリヒーがキリリと男前に歌いきっています。そして物語の上では2人の邪魔者的存在で分の悪いのが、ギリシア神話の英雄アガメムノンの王女エレットラ。ニコール・シュヴァリエが、憎々しいまでに嫉妬あらわな激しさと、対照的な、恋する素直な乙女心の両面を見事に演じ分けています。 ピットに入ったフライブルク・バロック管弦楽団は、ドイツを代表するトップ・ピリオド楽器オーケストラらしい多彩な音色を聴かせます。そしてクルレンツィスは2年前の『ティート』でもそうでしたが、チェンバロでなくフォルテピアノを用いており、それがレチタティーヴォの伴奏にとどまらないじつに雄弁な活躍ぶり。斬新な響きがとても刺激的です。 [出演]ラッセル・トーマス(イドメネオ/テノール)ポーラ・マリヒー(イダマンテ/メゾ・ソプラノ)イン・ファン(イリア/ソプラノ)ニコール・シュヴァリエ(エレットラ/ソプラノ)レヴィ・セクガパーネ(アルバーチェ/テノール)アイザック・サヴェイジ (大祭司/テノール)ジョナサン・レマル(神託の声/バス)ダーフィト・シュテッフェンス(『エジプトの王タモス』のバス独唱/バス)ブリトニ・マヘアラニ・フイマオノ (ダンサー)アリキタウ・テンタウ (ダンサー) [演目]ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:歌劇『イドメネオ』K.366 [演出&映像監督]ピーター・セラーズ[装置]ゲオルク・ツィーピン[衣裳]ロビー・タイヴァマン [照明]ジェイムズ・F・インガルズ [振付]レミ・ポニファシオ [指揮]テオドール・クルレンツィス[演奏]フライブルク・バロック管弦楽団、ペルミ国立オペラ・ムジカエテルナ合唱団 [収録]2019年、ザルツブルク、フェルゼンライトシューレ(ライヴ) ■字幕/全3幕/3時間20分(番組枠)

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